フェスティバル 退職給付会計(1級)練習問題スクリプト付き-簿記スクリプト


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退職給付債務

  退職給付債務は将来支払わなければならない退職金や似たような性質の一時金のことです。この退職給付債務支払いに備えるために積み立てるのが、2級で出てきた退職給付引当金です。ここでは、2級でははっきり金額が書かれていた繰り入れ額を計算する方法を扱います。退職給付引当金は退職給付債務を支払うためのものなので、必ず債務総額と同額なくてはなりません。よって、債務増加額=退職給付引当金繰入額、となります。
  退職給付債務の当期の増加分は退職給付費用として計上します。その新たに発生する退職給付費用は主に勤務費用と利息費用から構成されます。勤務費用は当期に働いたことによって新たに発生した債務額。利息費用は退職金の内、現時点までに発生しているとみられる分を現在価値に割り引いて算出した期首債務残高に割引率を掛けて算出します。次項の年金資産が無いなら、これらの関係は以下のようになっています。

退職給付費用=勤務費用+利息費用
退職給付費用=退職給付引当金繰入額
退職給付債務残高=退職給付引当金残高

  3年勤務すると45万円の一時金が支給される、債務は毎年均等発生、割引率3%、とすると当期の勤務費用は1年間の債務増加額15万を支払いまで1年あるので、1.03で1回割って145,631。初年度の勤務費用は2回割って14万1389。2年目の利息費用はこれに0.03を掛けて4242。よって当期の退職給付費用は145,631+4,242で14,9873。

(借)   退職給付費用   145,631    (貸)  退職給付引当金   145,631

数字にカーソルを乗せると式を表示。
計算表1年目2年目3年目
勤務費用141,389145,631150,000
利息費用04,2428,738
債務残高141,389291,262450,000

年金資産

  年金資産は退職金や退職者への企業年金支払いに備えて形成された資産です。年金資産は引当金のように退職債務支払いに充てるものであるため、その金額だけ引当金は少なくて済みます。退職債務総額から年金資産額を控除したものが引当金必要額となります。さらに、年金資産は運用することによって投資収益が得られ、その分だけ当期の退職給付費用の負担を軽くできます。年金資産の運用益は利息費用の正反対のものと言えます。年金資産があると、各要素の関係は以下のようになります。

退職給付費用=勤務費用+利息費用−年金資産運用益
退職給付債務=年金資産+退職給付引当金

  年金資産の分だけ引当金は少なくて良いです。なので、年金資産に現金を1,000拠出すると仕訳はこうなります。

(借)   退職給付引当金   1,000    (貸)  現金   1,000

  年金資産という科目を設定する手もあります。

(借)   年金資産   1,000    (貸)  現金   1,000

  では以下の例で当期の仕訳を考えます。

年金資産への拠出額1,400
年金資産の運用収益200
当期の勤務費用1,100
当期の利息費用400

  答えはこうなります。当期の費用計上額の内、年金資産でカバーできなかった部分は引当金への繰り入れとします。こうして、退職給付債務残高=年金資産+退職給付引当金、の状態を保ちます。

(借)   退職給付費用   1,500    (貸)   現        金   1,400
                         (貸)   退職給付引当金    100

  次に上記の利息と運用益を入れ替えると…。

年金資産への拠出額1,400
年金資産の運用収益400
当期の勤務費用1,100
当期の利息費用200

  答えはこうなります。当期の退職給付費用より、年金資産拠出額の方が多い場合はまだ支払わなくていい費用を支払ったことになるので、前払年金費用とします。引当金を取り崩したりはしません。

(借)   退職給付費用   1,300    (貸)   現金   1,400
(借)   前払年金費用    100

数理計算上の差異

  退職給付債務や年金資産の残高が予定と異なることがあります。この差額は未認識数理計算上の差異として扱います。未認識の意味は未処理であり、気付いていないという意味ではありません。給付水準の改訂によっても過去勤務費用というものが発生します。これらの差異は原則として何年間(問題文に書かれる)かに渡って均等額を処理(当期の退職給付費用に加減)します。例外として10年で90%程度処理される償却率を使用することもできます。原則法は減価償却の定額法、例外は定率法と言えます。
  退職給付債務が予定より1,000多いことが判明し、10年で費用処理することになったら仕訳はこうなります。差異の費用化額は退職給付費用に含めます。

(借)   退職給付費用   100    (貸)  退職給付引当金   100

問題

  では最後に問題を。以下の条件でこのような形の仕訳をしてください。

(借)   退職給付費用   xxxx    (貸)   現        金    xxxx
                         (貸)   退職給付引当金    xxxx

年金資産期首残高
年金資産への拠出額
年金資産の予定運用収益
年金資産の実際運用収益
年金資産からの払出高
退職給付債務期首残高
当期の勤務費用
当期の利息費用
数理計算上の差異発生額
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