

外貨建取引
ここでは輸出や輸入など、外国通貨による取引の仕訳をやります。国内の円建取引と違うのは為替相場による円建換算を行うこと、その際に相場の変動で損益が発生することです。まずはドル建の商品売買をやります。
アメリカの企業から商品1,000ドルを掛けで輸入。(1ドル=100円)
(借) 仕 入 100,000 (貸) 買 掛 金 100,000
後日、上記の買掛金を支払った。(1ドル=101円)
(借) 買 掛 金 100,000 (貸) 現金預金101,000
(借) 為替差損 1,000
アメリカの企業へ商品1,000ドルを掛けで輸出。(1ドル=100円)
(借) 売 掛 金 100,000 (貸) 売 上 100,000
後日、上記の売掛金を受け取り、円に換えた。(1ドル=99円)
(借) 現金預金 99,000 (貸) 売 掛 金100,000
(借) 為替差損 1,000
上記の仕訳は二取引基準という方式です。他には一取引基準というのがあります。この方式では決済時に為替差損益を計上せず、取引そのものを修正して相場変動を反映させます。上記の場合、一取引基準だと為替差損の代わりに仕入、売上、を計上し、金額を修正します。ただこうすると、決済するまで仕入高などが確定しませんので、普通は二取引基準が使われます。
輸出入の仕訳を扱ったついでに、よくニュースで円高で輸出企業が苦しんでいるとか言っているが、よく理由が分からない人のためのまとめを。
1ドル=○○円という形式で表された金額が下がると円高です。これはより少ない額で円とドルを交換できるので、円の価値が高まったと言えます。1ドル=○○円という形式で表された金額が上がると円安です。これはより多くの円を出さないと1ドルと交換できないので、円の価値が下がったと言えます。
まず円高は輸入企業にとって良く、輸出企業
にとって悪いです。円高になると輸入企業は以前と同じドル建代金を少ない円で支払えるようになります。一方、輸出企業は以前と同じドル建代金を円に替えると少なくなってしまいます。
円安は輸出企業にとって良く、輸入企業
にとって悪いです。円安になると輸出企業は以前と同じドル建代金を円に換えるとより多くの円が手に入ります。一方、輸入企業は以前と同じドル建代金を支払おうとすると以前より多くの円が必要になります。すると国内の販売価格も上げざるを得ず、商品が売れにくくなります。輸出企業が円高で苦しむ理由には相手国でこのような自社製品の値上げが起きてしまうというのもあります。現金の貸し借りの場合は現金を輸出入していると考えればいいです。
外貨建有価証券
次は外貨建の有価証券の評価です。外国企業の有価証券も決算日には適切に評価額を決めます。当然、円換算するわけですが、有価証券によって換算レートが異なります。種類に応じて、取得時レート、期中平均レート、決算時レート、を使い分けます。
売買目的とその他有価証券は外貨建の時価を決算日レートで円換算します。例えば、100ドルの有価証券を1ドル=100円の時に購入し、決算日の時価が95ドル、為替レートが1ドル=99円だとしたら、95×99−100×100、で595円の評価損となります。仕訳ではこれを有価証券運用損益として記入します。
社債などの満期保有目的のものは本体の時価は決算日レート、償却原価法による増額分は期中平均レートで円換算します。評価差額は為替換算損益となります。9,500ドルの社債を購入し、決算日に償却原価法を適用して100ドル増額、為替レートが取得時が1ドル=100円、期中平均レートが1ドル=101円、決算日レートが102円とします。仕訳では債権本体は増額後の価額を決算日レートで換算、評価差額の内、増額分は有価証券利息とします。なので、仕訳はこうなります。
(借) 満期保有目的債権 29,200 (貸) 有価証券利息 10,100
(貸) 為 替 差 益 19,100
子会社株式、関連会社株式は時価評価しない上、取得時レートで換算しますので、評価差額は発生しません。ただし、時価が取得時の半分以下など値下がり幅が非常に大き場合は、時価と決算日レートで評価換えし、取得価額との差額は特別損失とします。
為替予約
為替予約をしておくと将来、その時の為替レートではなく、予約時に決めた予約レート(先物為替レート)で円と外貨の交換を行えます。なので、輸出入の契約時点〜代金決済間に起きた為替変動の影響を受けなくなります。仕訳では、対象の債権債務を最後に円換算した時の相場と予約時の相場の換算差をその期の損益、予約時の為替相場と予約レートの換算差は前受収益か前払費用とし、繰延資産の償却のように期間配分します。
1−平成25年1月1日にアメリカの企業から期間3年、年利10%、で2,700ドル借入れ、円に換えた。(1ドル=100円)
2−平成25年12月31日、決算日。利息を支払った。(1ドル=99円)
3−平成26年7月1日に借入金返済に備えるため、1ドル=95円で、円売りドル買いの為替予約を行った。(1ドル=98円)
4−平成26年12月31日、決算日。利息を支払った。(1ドル=97円)
5−平成27年12月31日、決算日。利息を支払うとともに借入金を返済した。
(1ドル=96円)
1−(借) 現金預金 270,000 (貸) 借入金270,000
2−(借) 借 入 金 2,700 (貸) 為替差益 2,700
(借) 支払利息 26,730 (貸) 現金預金 26,730
3−(借) 借 入 金 10,800 (貸) 為替差益 2,700
(貸) 前受収益 8,100
4−(借) 前受収益 2,700 (貸) 為替差益 2,700
(借) 支払利息 26,190 (貸) 現金預金 26,190
5−(借) 借 入 金 256,500 (貸) 現金預金 256,500
(借) 前受収益 5,400 (貸) 為替差益 5,400
(借) 支払利息 25,920 (貸) 現金預金 25,920
1−
1ドル100円で換算。
2−
円高なので、借入金の円換算額を減らします。同時に利息の支払いを記録。
3−
予約日のレートと直前の決算日のレートの差を当期の損益として認識。予約日のレートと予約レートとの差は期間配分します。8,100(98×2,700−95×2,700)を返済までの18ヶ月に配分するので、1ヶ月につき450。有利なレートで予約できたので、前受収益とします。
4−予約日から半年経過したので、450の6倍を収益化します。利息は予約レートではなく、この時点のレートで支払います。
5−借入金を予約レートで返済し、前受収益を全て収益化。この時点のレートで最後の利息を支払います。
予約レートと直前決算日か予約日 近い日のレートの差 2,700×99−2,700×95=10,800 | 予約レートと予約日レートの差 前受収益か前払費用(期間配分) 2,700×98−2,700×95=8,100 |
予約日レートと直前決算日か予約日 近い日のレートの差 為替差益や為替予約益(当期の損益) 2,700×99−2,700×98=2,700 |
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