

金利スワップ
金利スワップは固定金利と変動金利を交換する取引です。融資を受け、変動金利を支払わなければならない時に、金利変動のリスク回避に使えます。
まず融資を受けた銀行とは別の銀行と変動金利受け取り、固定金利支払いの金利スワップを締結します。この取引の損益で借入金の金利変動を相殺します。
毎年、10%の変動金利を支払うという条件で10,000の融資を受けました。しかし金利が上昇する可能性が高いと判断し、ずっと10%の固定金利支払い変動金利受け取りの金利スワップを締結したとします。実際に利息を支払う際には変動金利が12%になった場合の仕訳はこうなります。金利スワップ仕訳では元本部分は無視し、金利についてのみ仕訳します。
金利スワップ締結時は金銭の受け渡しがありませんので、仕訳を行いません。実際に10%固定金利を支払い、12%の変動金利を受け取ったら差額の200についてのみ仕訳します。差し引き200の利益となります。支払利息のリスク回避のために金利スワップを締結しているので、受取利息ではなく、支払利息の減少として扱います。この仕訳に融資してもらった銀行への変動金利支払いの仕訳を合わせるとこうなります。
(借) 現 金 200 (貸) 支払利息 200
(借) 支払利息 1,200 (貸) 現 金 1,200
結局、金利スワップで得た利益と変動金利の上昇が相殺され、利息負担は固定金利で融資を受けた場合と同じになります。
逆に変動金利が2%下がるとこうなります。
(借) 支払利息 200 (貸) 現 金 200
(借) 支払利息 800 (貸) 現 金 800
金利スワップを締結しなかった場合に比べて損をしています。しかし固定金利以上の利息を支払ってはいません。これは変動金利の増減に合わせて金利スワップの損益が同額増減するためです。よって金利スワップを締結しなければ果てしなく膨らむ可能性がある利息負担を、金利スワップを締結すれば最悪でも固定金利分に抑えることができます。
最後に金利スワップ自体も資産として扱います。よって時価評価して評価額が変動していた場合は評価損益を計上します。評価益だとこうなります。
(借) 金利スワップ 200 (貸) 金利スワップ評価損益 200
先物取引
先物取引とは取引対象商品を契約時に決めた価格で未来の取引予定日に売り買いする権利を得る取引です。対象商品は大豆や小豆(日本独自)、原油、などの現物商品、国債などの債券などです。先物取引は青田買いと表現することもできます。商品となる米を早期に確保しようとまだ青い田についてここの米をこれだけの価格で買うという約束をすることです。青田買いのように先物取引で買う約束をすることを買い建てといいます。まだ買っていないものを逆に売る約束である売り建てもできます。青田買いの前にこれだけの米をこの価格で売るという約束をしたような状態です。
金1kgを1g3000円で買い建てたとします。しかし300万円用意する必要はありません。まずは先物取引証拠金というものを支払います。これは後で返えしてもらえるので、資産とします。ここでは取引総額の10%としていますが、業者によって異なります。ここで重要なのは、実際に支払った何倍もの金額を動かせるということです。米の売買では自身が用意できる現金の範囲で売買が行われます。しかし先物取引はその範囲を超えた取引となる場合があります。よって多額の利益獲得の可能性がある反面、失敗すると損失も膨らみます。
まず先物取引証拠金を支払ったらこういう仕訳をします。
(借) 先物取引証拠金 300,000 (貸) 現金 300,000
決算日に金の先物価格が1g3500円に上昇していたら評価益を計上します。もし今が期日で、権利を行使し、即売却するとします。1g3000円で買ったものを1g3500円で売ることになるので、500,000の利益が得られるからです。先物取引差金はこの差額を表す科目です。
(借) 先物取引差金 300,000 (貸) 先物評価益 300,000
翌期になったら正反対の仕訳をして評価損益を消去します。
(借) 先物評価益 300,000 (貸) 先物取引差金 300,000
売買期日には相場が1g4000円まで上昇していたとします。期日が到来したらその時点の相場で売る権利を得て、決済します。しかし300万円支払って400万円もらう、なんてことはしません。差金決済といって、差額についてのみ現金を動かします。この場合は100万円を得て取引終了となります。仕訳ではこの利益獲得と同時に証拠金返還についても処理します。
(借) 現金 1,000,000 (貸) 先 物 損 益 1,000,000
(借) 現金 300,000 (貸) 先物取引証拠金 300,000
ちなみに逆に買い建て時に1g4000円だったのに、決済時には1g3000円になってたとします。すると仕訳はこうなります。400万円で買ったものを300万円売ることになるので、100万円失うことになります。30万円ぐらいなら支払えると思っていた人に100万円の損失が降りかかってくるわけです。ただし実際にはロスカットといって、損失額が一定の大きさになった時点で強制決済されます。この場合、証拠金は没収される可能性があります。
(借) 先物損益 1,000,000 (貸) 現 金 1,000,000
(借) 現 金 300,000 (貸) 先物取引証拠金 300,000
ヘッジ会計
ヘッジ会計のヘッジとは回避という意味です。ヘッジ会計は金利や為替の相場変動など何らかのリスクに備えた取引(ヘッジ取引)に適用する特殊な会計処理です。ポイントはリスクを抱えた取引対象資産を売却するなどして損益を確定させるまで、リスク回避のために行った取引の損益認識も先延ばしにすることです。何らかの取引の金利変動リスクを回避するため、金利スワップ(ヘッジ取引)を締結したとします。これにヘッジ会計を適用したら、その取引が終了するまではスワップ評価損益が発生しても、評価益なら繰延ヘッジ利益(負債)、評価損なら繰延ヘッジ損失(資産)という科目にして繰り延べます。
国債を99円で1000購入。しかし値下がりする可能性があると判断。そこで同量の国債を先物取引で98円で売る約束(売り建て)をしました。国債相場と先物相場が値上がりすれば購入分で利益、先物で損失が発生します。値下がりすれば購入分で損失、先物で利益が発生します。どう相場が動いても互いの損益が打ち消し合い、損失を抑えることができます。
仕訳では国債購入と同時に証拠金支払いも記録します。
(借) その他有価証券 99,000 (貸) 現金 99,000
(借) 先物取引証拠金 9,800 (貸) 現金 9,800
決算日に現物の相場が98円、先物相場が97円と1円ずつ値下がりしていたとします。
その他有価証券では評価損を評価差額金として計上しますが、先物損益は計上せず、繰延ヘッジ損失として評価損益は認識しません。これはその他有価証券が売却されるまで続きます。
(借) その他有価証券評価差額金 1,000 (貸) その他有価証券 1,000
(借) 先 物 取 引 差 金 1,000 (貸) 繰延ヘッジ損失 1,000
翌期になったら正反対の仕訳をして評価損益を消去します。この時、ヘッジ取引についても反対仕訳をします。
(借) その他有価証券 1,000 (貸) その他有価証券評価差額金 1,000
(借) 繰延ヘッジ損失 1,000 (貸) 先 物 取 引 差 金 1,000
現物の相場が97円、先物相場が96円の時に国債を売却し、先物取引も決済したとします。現物では9,9000円で買い、9,7000円で売却しているので、2,000の売却損です。しかし先物取引では9,8000円で売る約束をした国債を96,000円で用意できたので、2,000の利益が出ています。よって、合わせると損益はゼロとなり、値下がりによる損失を回避したことになります。
(借) 現 金 97,000 (貸) その他有価証券 99,000
(借) 投資有価証券売却損 2,000
(借) 現 金 2,000 (貸) 投資有価証券売益 2,000
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