

抽選償還
抽選償還は発行した社債を毎年、一部ずつ償還し続ける償還方法です。その一部を抽選によって選び出すのでそのままこういう名称になってます。抽選償還のポイントは毎期の発行差額の費用化額の算定です。発行差額を少しずつ費用化するのは割引発行で発生した額面と発行額の差を期間配分し、社債によって得た資金の利用と対応させるためです。社債で得た資金は償還まで企業活動に役立てられるので、発行差額の費用化も償還までの数年に渡って償却した方が、費用と効果を結び付けられるというわけです。
全額を満期時点で償還する場合、利用できる資金は毎年同じです。だから発行差額の費用化も毎年均等額とします。一方、抽選償還では利用できる資金が段階的に減っていきます。よって発行差額の費用化も毎期一定額ではなく、利用できる資金量に合わせた方がいいです。
額面総額1000万円の社債を額面100円につき、97円で発行、これを5年に渡って200万円ずつ償還していくとします。発行差額は300,000発生します。
まず各年に使える資金量を5年分合計します。
総資金量=1000万+800万+600万+400万+200万、で3000万
発行差額の費用化は1年目が、300,000÷3000万×1000万で100,000、2年目が、300,000÷3000万×800万で80,000、3年目が、300,000÷3000万×600万で60,000、4年目が、300,000÷3000万×400万で40,000、5年目が、300,000÷3000万×200万で20,000、となります。
なお、償還額が毎年同じ場合は減価償却の級数法のような解き方ができます。
費用化割合=満期までの年数×(満期までの年数+1)÷2×(5−費用化処理済み年数)、
発行差額の費用化額=発行差額×費用化割合
上記の例だと1年目の償却割合は5×(5+1)÷2×5、で3分の1
1年目の費用化額は発行差額の3分の1の100,000。
新株予約権付社債
新株予約権付社債は新株予約権がオマケについた社債です。実際に新株を発行してもらう時に新株の代金を払い込むので、代用払込みが認められる新株予約権付社債とも言えます。
額面総額1000万円の新株予約権付社債を額面100円につき80円で発行、新株予約権の行使価格1,000円、とすると仕訳はこうなります。新株予約権は負債なので、貸方となります。金額は発行差額と同額になります。
(借) 現 金 預 金 8,000,000 (貸) 社 債 8,000,000
(借) 現 金 預 金 2,000,000 (貸) 新株予約権 2,000,000
後日、新株予約権の70%が行使されたとすると仕訳はこうなります。行使価格(1株当たりの代金)は1,000ですので新株は7000株発行されます。
(借) 現 金 預 金 7,000,000 (貸) 資本金 7,000,000
(借) 新株予約権 1,400,000 (貸) 資本金 1,400,000
社債額面の70%相当額が払い込まれますので、同額資本金は増加します。また新株予約権という負債の70%が減少しますので借方に記入、さらに同額の資本金が増加します。結局、(社債額面+新株予約権)×行使割合、の額だけ資本金は増加します。またここでは払込み金の全額を資本金としましたが、半額を上限に資本金としないこともできます。資本金としない分は資本準備金とします。
(借) 現 金 預 金 7,000,000 (貸) 資 本 金 3,500,000
(貸) 資本準備金 3,500,000
(借) 新株予約権 1,400,000 (貸) 資 本 金 700,000
(貸) 資本準備金 700,000
残りの30%は行使されないまま権利行使期間が終了したら新株予約権戻入益を計上します。
(借) 新株予約権 600,000 (貸) 新株予約権戻入益 600,000
転換社債型新株予約権付社債
転換社債型新株予約権付社債は権利行使することで社債と新株を交換できる社債です。社債が新株に転換するから転換社債というわけです。代用払込みがあったとみなす新株予約権付社債とも言えます。"みなす"と言っているのは実際には払込みが行われないからです。
決算日に額面総額1000万円の転換社債型新株予約権付社債を額面100円につき80円で発行、新株予約権の転換価格1,000円、満期までは4年とします。発行時の仕訳は新株予約権付社債と同じです。
(借) 現 金 預 金 8,000,000 (貸) 社 債 8,000,000
(借) 現 金 預 金 2,000,000 (貸) 新株予約権 2,000,000
2年後、新株予約権の70%が行使されたとすると仕訳はこうなります。普通の新株予約権付社債では現金預金となっていた部分が社債(減少)となっています。これは社債が新株に替わり消滅したためです。企業にとっては現金の替わりに社債償還を放棄するという対価をもらったことになります。普通の新株予約権付社債では現金と新株を交換し、転換社債では現社債を償還してもらえる権利と新株を交換しているといえます。
(借) 社 債 7,000,000 (貸) 資本金 7,000,000
(借) 新株予約権 1,400,000 (貸) 資本金 1,400,000
社債が消滅しているため、以上の仕訳と同時に対応部分の発行差額の費用化も行います。費用化額はその時点の発行差額残高に権利行使割合を掛けたものです。この例だと、2,000,000÷4、で毎年500,000ずつ費用化してきました。権利行使時点の発行差額残高は1,000,000なので、700,000を臨時に費用化します。あとの2年は残った300,000を150,000ずつ費用化していきます。
潜在株式
転換社債など新株予約権を付与中に考慮することになるのが潜在株式です。これは権利行使によって、増加するかもしれない株式のことです。ここでは潜在株式による当期純利益調整とそれに伴う希薄化についてやります。期首の普通株式数が27,000、期末の普通株式数29,000が、当期純利益が700万とします。この場合、期中平均株式数は両者の平均の28,000となります。1株当たり純利益は250円となります。
額面総額1000万円、年利7%、法人税率40%、全て転換されると普通株が7000株増加する転換社債を発行していたとします。この7000株の
潜在株式を考慮後の1株当たり純利益を出すにはまず期中平均株式数に潜在株式数を足します。すると35,000となり、これが潜在株式調整後期中平均株式数です。次に当期純利益調整額を求めます。これは転換社債が全て転換された時に税引後当期純利益がいくら変化するかという数値です。この例では年間の利息70万円に、(1−法人税率)を掛けた42万円が調整額となります。社債が新株に転換され、消滅したおかげで支払社債利息が70万円減少し、税引後当期純利益が42万円増加します。結果、1株当たり当期純利益は、(700万+42万)÷35,000、で212円となります。このように潜在株式が新株になることで、1株当たり当期純利益が減少することを希簿化効果といいます。希薄化は潜在株式1株当たりの当期純利益調整額が潜在株式調整前の1株当たり当期純利益を下回る場合におきます。
当期純利益調整額=転換による費用節約額×(1−法人税率)
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