フェスティバル 減損会計(1級)-簿記スクリプト


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減損とは?!

  減損とは陳腐化や経済環境の急変で保有資産や営業権(のれん)の価値が予想外に下落することをいいます。減損が発生した資産は帳簿価額に比べ、実質価値が著しく低下しています。よって実質価値と釣り合うように強制的に帳簿価額を引き下げる必要があります。その際は減損損失というのを計上します。これは臨時の減価償却費のようなものです。減損損失は異常な損失として扱われ、特別損失となります。

減損の判定と測定

  では、以下の機械装置の減損損失計上額を計算してみます。

資産の種類
機械装置
帳簿価額
2,000,000
減価償却費累計額
300,000
減損の兆候
あり
割引前将来キャッシュフロー300,000×5年
売却価額
1,450,000
処分費用
50,000
割引率
3%

1-まず減損の兆候があるか調べます。無いなら、減損損失は無いと判定します。

2-減損の兆候がある場合は資産の実質帳簿価額と割引前将来キャッシュフロー総額を比べます。資産の実質帳簿価額は減価償却費累計額を控除した1,700,000。これを割引前将来キャッシュフロー総額の1,500,000は下回っています。こうして、減損の兆候が認められ、実質帳簿価額>割引前将来キャッシュフロー総額、の時に減損損失ありと判定します。

3-ここからは減損損失の額を測定します。減損損失の計上額は実質帳簿価額から使用価値と処分価値のどちらか大きい方を引いて求めます。使用価値は割引前将来キャッシュフロー総額の割引現在価値、処分価値は売却価額から処分に要する費用を引いた正味売却価額です。

使用価値=30万÷1.03+30万÷1.032+30万÷1.033+30万÷1.034
30万÷1.035=1,373,912
処分価値=1,450,000−50,000=1,400,000

となるので、処分価値の方が大きいです。よって減損損失は、1,700,000−1,400,000、で300,000となります。

4-仕訳は

(借)  減損損失    300,000   (貸)  機械装置    300,000

となります。減損損失の分だけ、資産の帳簿価額は削られます。以降の減価償却は減損損失を控除した1,700,000を取得価額として行います。

営業権の減損

  次は営業権の減損処理です。営業権は将来の収益獲得の可能性を見越して資産計上されています。なので、その収益の大幅な減少が見込まれる場合は減損処理を行います。
  以下の資産を含む事業を買収し、300万の営業権を計上したとします。しかしその事業で製造している製品の競争が激化し、収益達成の見込みが無くなり、減損処理することになったとします。事業全体の割引前将来CFが450万×5年、今後5年の回収可能額が2600万円とします。
  まず、割引前将来CF2250万は構成資産と営業権の合計、2360万を下回るので、この事業の減損を認識します。金額は2600万から2360万を引いた240万となります。同じように構成資産を調べると建物と機械装置が減損損失ありとなりす。

資産の種類
建物
土地
機械装置
営業権
帳簿価額
10,000,000
10,000,000
6,000,000
3,000,000
減価償却費累計額
4,500,000
-
900,000
-
減損の兆候
あり
あり
あり
あり
割引前将来CF1,000,000×52,200,000×5900,000×5
-
売却価額
4,000,000
10,000,000
4,500,000
 
処分費用
100,000
100,000
50,000
-
割引率
5%
5%
5%
-

  次に建物と機械装置の減損損失は以下のようになります。

資産の種類
建物
機械装置
土地
実質帳簿価額
5,500,000
5,100,000
10,000,000
割引前将来CF
5,000,000
4,500,000
11,000,000
減損損失
あり
あり
なし
使用価値
4,329,477
3,896,529
9,524,849
処分価値
3,900,000
4,450,000
9,900,000
減損損失額
1,170,523
650,000
0

  営業権の減損損失は事業全体の減損額から建物と機械装置の分を引いた579,477となります。


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