[PR]子育て期こそ在宅ワーク リース会計(1級)リース取引・現価係数スクリプト付き-簿記スクリプト


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ファイナンス・リース

  リース取引というのは、リース料を支払うことで他社から車両や建造物を借り受ける取引です。借り手は貸借料金であるリース料に加え、借りた資産維持のコストも負担しなければなりませんが、その資産を利用した結果、発生した利益をほぼ全て自社のものとすることができます。
  ファイナンス・リースとは法的には貸借取引にもかかわらず、会計上は売買取引とみなされる取引です。会計上も貸借取引として扱われるリース取引はオペレーティング・リースと呼ばれます。ファイナンス・リースと判定する条件は途中解約不可か超高額のキャンセル料が必要、耐用年数まで資産を利用する過程で発生するほぼ全ての維持コストと収益が借り手に帰属する、となっています。
  では、例題で解き方をみていきます。リース取引の中にはリース契約満了時に無償か格安で対象資産を買い取れる所有権移転型というのがありますが、本問は無しとします。

    年間リース料   利率%入力  現金購入価額
  一般管理費  残価保証額  実際残存額

  即金購入すると130万円相当の備品をリース期間5年、年間リース料30万円(この内、3万円は維持費)、利率5%、5年経過時の残価保証額10万円、実際残存額5万円、という条件でリースしたとします。残価保証額というのはリース資産返却時に残しておくべきと決められた評価額です。一言で言うと、無茶な使い方をするな、ということです。
  1-まず最初に計算に使う利率を決めます。貸し手の計算利率が分かればそれにしますが、分からない場合はリース資産を即金で購入するのに必要な金額をリース期間と同じ返済期間で借り入れる際に適用される利率とします。現金購入価額を取得原価とした場合はリース料総額の割引現在価値と現金購入価額が同じになるような利率を使用します。もしこの例でリース料が35万円であり、130万円が取得原価になった場合は、取得原価130万÷35万=3.71、なので以下の年金現価係数スクリプトの5の累計欄が3.71になるような利率を探します。(10.8%)
  2-次にリース資産の取得原価を決めます。貸し手の購入額が分かれば、当該金額とリース料総額の現在価値を比べて低い方となります。分からない場合はリース料総額の現在価値と見積現金購入価額を比べて低い方となります。通常、貸し手の購入額は不明ですので、リース料総額の現在価値と見積現金購入価額を比べて低い方となります。リース料総額の現在価値は各年なり月に支払うリース料を現在価値に割り引いた上で合計したものです。
  この問題だとこうなります。なお、一般管理費はリース料から控除し、取得原価に入り込まないようにします。残価保証額は最後のリース料に加算します。

27万÷1.05+27万÷1.052+27万÷1.053+27万÷1.054+(27万+10万)÷1.055

  3-計算結果は1,247,312となります。これが取得原価となります。仕訳では借方にこの金額で備品を計上し、貸方には同額のリース債務を計上します。
  4-リース料を支払ったら元本返済、一般管理費支払、支払利息に分解して仕訳します。まず、貸方に現金預金など。借方には一般管理費をそのまま計上、支払利息はリース料支払い直前のリース債務残高に利率を掛けて算出。リース債務の元本返済額はリース料から利息と一般管理費を控除した金額になります。例えば、初回のリース料支払い時の仕訳はこうなります。

(借)  リ ー ス 債 務  207,634    (貸)  現金預金  300,000
(借)  支 払 利 息   62,366
(借)  一 般 管 理 費  30,000

  5-決算時には減価償却を行います。償却費用は定額法なら、(取得原価−残価保証額)÷リース期間、となり年間229,462円です。
  6-リース期間が終了し、リース資産を返却する時はこうなります。返却によってリース資産とその減価償却累計額を無くします。残価保証額を残存価額として減価償却してきたので、残価保証額分の差額ができます。それと残価保証額にあたるリース債務を相殺します。残価保証額分の価値のある資産を手放す代わりにリース債務を無くしてもらうわけです。同時に実際の評価額との差額を現金で埋め合わせます。

(借)  リ ー ス 債 務     100,000    (貸)  備   品  1,247,312
(借)  減価償却累計額   1,147,310
(借)  リース資産売却損   50,000    (貸)  現金預金    50,000

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年金現価係数

  上記の問題では残価保証額の現在価値を求めるのに1.05で5回割ります。またリース料総額の現在価値を求めるために各年のリース料の現在価値を求めて合計する必要があります。リース期間が30年だったり、同じ5年でもリース料が毎月支払いの計60回払いだとどうなるでしょう?この場合、リース料総額の現在価値の計算は月々のリース料の現在価値を求める計算を60回やってその答えを合計しなければなりません。これは現実的ではありません。そこで、予め計算された数値である現価係数と年金現価係数を使います。
  まず、現価係数は特定の利率による1の割引現在価値です。以下のスクリプトに1を入力すると60の欄に0.55と出ます。これにリース料を掛けるだけで月利1%、毎月支払いという条件で60ヶ月後に支払うリース料の現在価値が求められます。ある月後の年金現価係数はそこに至るまでの毎月の現価係数の累計です。スクリプトに1を入力すると60の欄に45と出ます。これにリース料を掛ければ、月利1%、毎月支払いという条件で60回支払うリース料総額の現在価値が求められます。

利率

  即金購入すると500万円相当、耐用年数8年、残存価額10%備品をリース期間60ヶ月、月間リース料10万円、利率1%、リース期間終了時に5万円で買い取れる割安購入選択権が付いており行使予定、という条件でリースしたとします。この取引の最初と最後のリース料支払時の仕訳を考えます。

  1-まず最初に計算に使う利率を決めます。貸し手の計算利率が分かればそれにしますが、分からない場合はリース資産を即金で購入するのに必要な金額をリース期間と同じ返済期間で借り入れる際に適用される利率とします。現金購入価額を取得原価とした場合はリース料総額の割引現在価値と現金購入価額が同じになるような利率を使用します。もしこの例でリース料が13万円であり、500万円が取得原価になった場合は、取得原価500万÷リース料13万=38.46、なので年金現価係数スクリプトの60の累計欄が38.46になるような利率を探します。(1.6%)
  2-次にリース資産の取得原価を決めます。所有権移転型だと貸し手の購入額が分かれば、当該金額。分からない場合はリース料総額の現在価値と見積現金購入価額を比べて低い方となります。通常、貸し手の購入額は不明ですので、リース料総額の現在価値と見積現金購入価額を比べて低い方となります。年金現価係数スクリプトに1を入力すると現価係数が0.550451、累計が44.955132となります。まずリース料本体の現在価値はリース料10万円に44.955132を掛けて4,495,513円。割安購入選択権の現在価値は0.550451を掛けて27,523円となります。これを合わせた4,523,036円がリース料総額の現在価値となります。現金購入価額より低いので、この4,523,036円が取得原価となります。
  3-初回のリース料支払いは、支払利息が債務総額に利息を掛けた45,230円、リース債務返済額は残額の54,770円となります。
  4-決算時には減価償却を行います。所有権移転型だと自社保有の資産と同じく、残存価額と耐用年数を見積もって計算します。残存価額が10%なら、4,523,036×0.9÷8、で年間508,842円となります。
  5-最後のリース料支払額は割安購入選択権価格を含んだ15万円となります。リース債務返済額は15万を1.01で1回割った金額で148,515円、支払利息は残額の1,485円となります。

    月間リース料現金購入価額割安購入選択権価格
月間利率% 現価係数 年金現価係数 耐用年数
残存価額


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貸し手側の処理

  次はリース資産を貸したリース会社側の仕訳です。1つ前のリース取引において、貸し手側の計算利子率と取得原価が借り手と同じだったとします。リース契約時はこうなります。貸方が買掛金なのはリース会社は自社保有の資産を提供するのではなく、リース契約が締結されてから資産を購入するからです。これはリース会社の仕入れであり、代金の支払い義務は仕入債務になるからです。借方にはリース料を受け取れる権利であるリース債権を計上します。

(借)  リース債権   4,523,036    (貸)  買掛金    4,523,036

  初回のリース料受け取り時の仕訳はこうなります。

(借)  現金預金   100,000    (貸)  リ ー ス 債 権     54,770
                       (貸)  リース資産売買益    45,230

  借手にとっての支払利息がリース会社にとっての売買益となります。これはリース会社にとって当該金額は本業で得た収益となるからです。

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セール・アンド・リースバック

  これは自社保有の資産を売却し、その購入会社からリースする取引です。行われる理由は、購入会社の方が維持管理が優れている、まとまった資金が必要、などです。リースすることで、売却後も今まで通り使用しつづけることができます。
  4年前に160万円で購入し、耐用年数8年、残存価額10%、として減価償却してきた備品があるとします。これを90万円で売却し、リース料年額25万円、利率年3%、リース資産の所有権がリース期間終了後に無償で借り手に移転、という条件でリースバックしたとします。契約時の仕訳は以下の通りになります。まず売却したので、備品と減価償却累計額を消去します。次に対価の受領とリース債務の計上を行います。リース債務の金額は所有権移転型だと貸し手の購入価格が第一候補となります。リースバックの場合は自分が売却した関係上、貸し手の購入価格を知っています。よって売却額をリース債務額とします。次にリース債務と同額で、備品を計上し直します。結局、売却額=リース債務=再取得原価、となります。売却時の備品勘定から減価償却累計額を控除すると現在価額が求められます。この金額を売却額が超過している額、普通の売買なら売却益になっている部分を長期前受収益とします。これはリース期間に渡って徐々に収益化していきます。

(借)  減価償却累計額   720,000    (貸)  備      品   1,600,000
(借)  現  金  預  金    900,000    (貸)  リ ー ス 債 務    900,000
(借)  備        品   900,000    (貸)  長期前受収益     20,000

  初回分のリース料支払い時と減価償却の仕訳はこうなります。リース料は上記でやってきたように支払利息と元本返済に分解します。減価償却費は、再取得原価(90万)−リースバック前に使用していた残存価額(16万)÷耐用年数(8)、となります。次に長期前受収益の収益化ですが、これは減価償却の控除という形で行います。収益化の年額は、長期前受収益に占めるその年の収益化額と要償却額に占めるその年の減価償却費が一致するように行います。減価償却と同じペースでするわけです。定額法だと簡単です。長期前受収益を残りの耐用年数で割るだけです。こうしてリースバック前と後の減価償却費を一致させます。

(借)  リース債務       223,000    (貸)  現 金 預 金     250,000
(借)  支 払 利 息       27,000
(借)  減 価 償 却       18,500    (貸)  減価償却累計額    185,000
(借)  長期前受収益     50,000    (貸)  減 価 償 却      50,000

    リース資産の購入時価額  耐用年数  使用年数
  残存価額%  売却額  年間リース料   利率



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