

減価償却(級数法等)
級数法は定率法のように最初は多額で、後になるほど減少していきます。計算法は要償却高を1から耐用年数までの数を足した数で割り、耐用年数から経過済みの年数を引いた数を掛けて算出します。1から耐用年数までの数を足した数は公式で出せます。1からとある数までの整数を全部足した数は、その数とその数に1足した数を掛けて2で割ることで求められます。取得価額100,000、耐用年数5年、残存価額10%、の資産に級数法を適用すると…
まず要償却高は90,000となります。計算に使う分母は、5×(5+1)÷2、で15となります。90,000を15で割ると6,000となります。これに5を掛けた30,000が1年目、4を掛けた24,000が2年目、3を掛けた18,000が3年目、2を掛けた12,000が4年目、1を掛けた6,000が5年目、の償却費となります。
総合償却
総合償却は何らかの共通点を持った複数の機械装置などの資産の減価償却をまとめて行うことです。定額法で行うには平均耐用年数、定率法で行うには総合償却率を使います。平均耐用年数は、要償却高合計÷年償却高合計で求めます。総合償却率は、年償却高合計÷要償却高合計で求めます。
資産除去費用
次は資産除去費用と資産除去債務です。資産除去費用というのは機械設備等を使用後に撤去する際、環境基準に適合するよう有害物質を除去したりするのにかかる費用です。設備建設時点で除去費用が見積もれる場合は資産除去債務として計上し、期間配分します。債務を計上する際は、見積額そのままではなく、現在価値に割り引きます。この現在価値に割り引く、というのは1級ではいろんな所で出てきます。
現在価値というのは利率1%、5年後に1,000円になる預金なり投資額は今いくらかということです。答えは1,000を1.01で5回割った951円です。951円が現在価値、1.01で5回割る計算を割り引くと言います。
では、取得原価10,000、耐用年数5年の機械装置の資産除去費用が1,000、割引率3%、だったらどうなるかというと…
購入時は資産除去費用1,000を1.03で5回割って現在価値に割り引いた863を資産除去債務として計上します。これは購入資産の取得価額に算入します。そうするとその分、毎年の減価償却費
が増加します。この増分が期間配分された資産除去債務です。
(借)
機械装置 10,863 (貸) 現 金 預 金 10,000
(貸) 資産除去債務 863
1年経ったら資産除去債務863に割引率を掛けた26を利息費用として計上し、資産除去債務を増加させます。こうして、現在価値から実際の見積もり金額に近づけていきます。
(借)
利息費用 26 (貸) 資産除去債務 26
2年経ったら資産除去債務863に去年の利息費用を足した889に割引率を掛けた27を利息費用として計上します。
(借)
利息費用 27 (貸) 資産除去債務 27
3年経った時点で環境基準の変更などで資産除去費用見積額が100増えたとします。こういう場合はまずあと2年ですので、100を1.03で2回割った94を資産除去債務に追加します。次に追加後の資産除去債務(863+26+27+94)に割引率を掛けた30を利息費用として計上します。
(借) 機械装置 94 (貸) 資産除去債務 94
(借) 利息費用 30 (貸) 資産除去債務 30
4年経ったらこの時点の資産除去債務(863+26+27+94+30)に割引率を掛けた31を利息費用として計上します。
(借) 利息費用 31 (貸) 資産除去債務 31
5年後、設備を撤去することになったものの、予定よりさらに50オーバーしたとします。この差は履行差額として計上します。これは営業費となります。この仕訳と同時に最後の利息費用計上と2級でやった除却の仕訳もします。なお、資産除去費用は撤去時に発生する費用ですので、耐用年数を超えて使用するなど撤去しない場合はまだ支払いません。
(借) 資産除去債務 1,100 (貸) 現金預金 1,150
(借) 履 行 差 額 50
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