

電子記録債権
電子記録債権は手形のような現実世界に存在する債権とは違って、コンピューター上にのみ存在する債権です。平成20年12月1日に施行された電子記録債権法に規定されています。電子記録債権はコンピューター内に存在する受取手形のようなものであり、売掛金のような通常債権と引き換えに発生させることができます。手形に比べて電子記録債権には作成や保管する手間が省ける、紛失しない、持ち歩く必要がない、分割して支払いに充てられる、といったメリットがあります。
売掛金を電子記録債権に変換するとこうなります。
(借) 電子記録債権 500 (貸) 売掛金 500
売掛金の支払い者から見ると買掛金が電子記録債務に変わります。
(借) 買掛金 500 (貸) 電子記録債務 500
電子記録債権が決済されるとこうなります。
(借) 現金 500 (貸) 電子記録債権 500
債務者側ではこうなります。
(借) 電子記録債務 500 (貸) 現金 500
仕訳上、電子記録債権は受取手形と同じ扱い方になると言って良いです。このように裏書譲渡のようなこともできますし…
(借) 買掛金 300 (貸) 電子記録債権 300
割引きのごとく、現金化することもできます。
(借) 現 金 280 (貸) 電子記録債権 300
(借) 電子記録債権売却損 20
受取手形の金利別処理
ここでは受取手形の額面に金利が含まれ、さらにそれを別処理する方法をやります。
売上100万円の代金として満期が2年後の受取手形を受け取ったとします。この手形の額面が100万円では速やかに現金で受け取った場合に比べて損です。2年あれば100万円を本業や投資に投入すれば、いくらかの利益を得られるからです。ということはこの手形を決済に使うにはその利益の代わりとなる利息を加算する必要があります。この利息の別処理方法には利息法と定額法があります。
加算する利息(実効利子率や実効金利という)が3%だと手形の額面は100万に1.03を2回掛けた1,060,900となります。金利を別処理しない場合は以下の仕訳で終わりです。
(借) 受取手形 1,060,900 (貸) 売上 1,060,900
この仕訳では利息が手形受取時に全額計上されたような状態です。実際には利息は2年に渡って徐々に発生していきます。金利別処理はこの点を考慮した方法と言えます。
利息法、定額法、どちらの方法でもまずは元本部分のみを計上します。
(借) 受取手形 1,000,000 (貸) 売上 1,000,000
利息法では1年目には0.03を掛けた30,000を実際に受けとってはいませんが、受取利息として計上します。仕訳では受取利息を計上するとともに受取手形の帳簿価額を増額し、額面金額に近づけていきます。
(借) 受取手形 30,000 (貸) 受取利息 30,000
2年目は同じ仕訳で残りの30,900を計上します。定額法では毎期均等額を処理するので、2年とも30,450となります。
債権譲渡
企業は自身の保有する金銭債権を売却することができます。売り手は回収不能になるリスクの軽減、買い手は利息収入を期待できます。債権譲渡の際には以下のような様々な資産や負債が発生します。
回収業務サービス資産は譲渡相手の代わりに売り手が資金回収を行い、その対価である手数料を受け取れる権利を表しています。この手数料収入を現在価値に割り引いて評価します。買戻権は債権が予想した以上に値上がりした場合などに売り手が譲渡相手から債権を買い戻せる権利で、資産となります。リコース義務は債務者の財務事情悪化で資金回収が困難になった時に売り手が買い戻さなければならない義務であり、負債となります。このように1つの債権などの金融資産を様々な構成要素に分解して処理する手法を財務構成要素アプローチといいます。
債権額 | 2,100 |
売却収入 | 2,300 |
回収業務サービス資産 | 100 |
買戻権 | 150 |
リコース義務 | 50 |
仕訳ではまず借方に新たに得た資産である売却対価と買戻権、貸方に譲渡した債権額、新たに発生した負債であるリコース義務をそのまま記入します。次に債権の時価総額を求めます。売却額に資産を全て足し、負債を引きます。時価は2,500となります。次に回収業務サービス資産の残存部分です。残存部分というのは譲渡するしないと関係なく、手元に残る部分です。債権を譲渡しなかった場合でも自身のために回収業務は行われます。この残存部分は、債権額÷時価総額×回収業務サービス資産、で求めます。答えは84となり、これも借方に記入します。あとは貸借差額で売却損益を求めます。
次へ