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2級工業簿記

工業簿記と原価計算

原価の構成要素

仕訳と勘定記入

個別原価計算

総合原価計算

部門別原価計算

工程別・組別・等級別

仕損と減損

標準原価計算

差異分析

固定予算と変動予算

直接原価計算

CVP分析

商業簿記索引工業簿記索引

商的工業簿記と完全工業簿記

  商業簿記は商品を仕入れて売るだけの小売業、コンビニやスーパーのような企業を対象としています。これに対し、工業簿記は材料を仕入れ、それを加工して製品を製造し、販売することで利益を得る製造業を対象としています。商業簿記が店で使う簿記なら工業簿記は工場で使う簿記と言えます。
  工業簿記は2つのタイプ、商的工業簿記と完全工業簿記に分けられます。違いは原価計算を行うか行わないかです。原価計算というのは製品を製造するのにどれだけの費用がかかったか求めることです。単に、工業簿記と言えばこの原価計算を行う完全工業簿記を指します。完全工業簿記が主流というわけです。というのも商的工業簿記では様々な問題が発生するためです。
  商的工業簿記ではその月に発生した材料費や加工費をそのまま売上原価の算定に使用します。一見、問題ないように見えますが…
 当たり前ですが、販売するのは製造途中ではなく、完成した製品です。ということは売上原価の算定に使用べきなのは完成した製品の製造にかかった費用です。もし月末にまだ製造途中の製品があった場合、これに投じた製造費用はまだ売上原価にすべきではないですが、商的工業簿記では入り込んでしまいます。
  また複数の製品を製造している場合、どれを作るのにどれだけ製造費用がかかったか把握できません。ということは適正な価格決定ができません。本当は採算割れの価格を付けても気づけませんし、原価に10%の利益を加えた価格で販売、というようなこともできません。というわけで適正な価格決定や売上原価の算定を行うには絶対に完全工業簿記を使用しなければなりません。

原価計算の流れ

 まず材料費を求めます。次に材料を加工するのに掛かった加工費を求めます。加工費は作業員の給与である労務費、電力料金や他社に加工を委託して支払った代金などの経費などから成ります。材料費と加工費を合わせてその月の製造活動に投じた総費用、当月総製造費用を求めます。そしてそれぞれを完成品と製造途中の製品に分配します。この製造途中の製品を仕掛品と言います。仕掛=作りかけ、ということです。月初に製造途中の状態なら月初仕掛品、月末なら月末仕掛品となります。月末仕掛品の製造費用はまだ未完成なので、完成品原価には含めません。一方、計算法によりますが、月初仕掛品はもう全て完成品になっています。というわけで月初仕掛品原価と当月製造費用の合計から月末仕掛品原価を引くと当月完成品総合原価が求められます。これを完成数量で割れば製造単価となります。

当月材料費集計→当月加工費集計→合計すると当月総製造費用→材料費・加工費を完成品と月末仕掛品に分配→月末仕掛品総合原価算定→月初仕掛品総合原価+当月総製造費用−月末仕掛品総合原価=当月完成品総合原価→当月完成品総合原価÷完成数量=製造単価

製造原価報告書

  原価計算が完了したら原価の内訳を具体的に記載した製造原価報告書というものを作成します。これは損益計算書や貸借対照表と同じくらい重要であり、製造原価報告書の作成が原価計算のゴールと言えます。
  製造原価報告書 は以下のようになっています。材料費、労務費、経費、を足して当期総製造費用を求め、期首仕掛品棚卸高を足し、期末仕掛品棚卸高を引くことで当期製品製造原価を求めます。

T‐材料費
  1.期首材料棚卸高00000
  2.当期材料仕入高00000
     合     計    00000
  3.期末材料棚卸高00000
  当 月 材 料 費00000
U‐労務費00000
V‐経  費00000
  当期総製造費用00000
  期首仕掛品棚卸高00000
     合     計    00000
  期末仕掛品棚卸高00000
  当期製品製造原価00000

  当期総製造費用が求められたら、小売業の損益計算書の当期仕入高だった所に記載し、売上原価を求めます。

T‐売 上 高00000
U‐売上原価
  1.期首製品棚卸高00000  
  2.当期製品製造原価00000
     合     計    00000
  3.期末製品棚卸高0000000000
   売 上 総 利 益00000

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