

パーチェス法
2級で企業の合併・買収をやりましたが、1級ではさらに様々なパターンが出てきます。まずは2級のパーチェス法の復習です。
パーチェス法では取得企業が自社株式等を対価として、相手企業を取得したとして処理します。仕訳では借方に時価評価した相手企業の資産、貸方に負債と買収の対価、貸借差額をのれんとします。
資産10,000、負債5,000、の企業を株式の時価が60の企業が100株の新株を相手企業の株主に発行して吸収合併するとこうなります。なお、増加資本の内、半分は資本金としないことにします。
(借) 諸資産 10,000 (貸) 諸 負 債 5,000
(借) のれん 1,000 (貸) 資 本 金 3,000
(貸) 資本準備金 3,000
上記の例で取得企業が相手企業の株式を売買目的ですでに1,000所持、買収対価の株式の内、50株を自己株式(帳簿価額2,500)で賄うとこうなります。吸収合併で相手企業は消滅するので、すでに保有していた株式は資産から控除します。対価に自己株式を使用すると全て新株とした場合に比べ、その分だけ資本は増加しなくなります。
(借) 諸資産 10,000 (貸) 諸 負 債 5,000
(借) のれん 2,000 (貸) 売買目的有価証券 1,000
(貸) 自 己 株 式 2,500
(貸) 資 本 金 1,750
(貸) 資 本 準 備 金 1,750
企業買収の処理について、持分プーリング法というのもあったのですが、廃止されたため、今はパーチェス法に一本化されています。
株式交換
株式交換とは取得企業が相手企業の株主が保有している全株式と自社株式を交換し、完全子会社とする取引です。株式交換の際には親会社と子会社の株式の交換比率となる合併比率を決めます。合併比率が1:0.5なら親会社の株式1株と子会社の株式2株を交換します。
仕訳では子会社となる企業の株主に交付した自社株式の総額が相手企業の取得原価となり、子会社株式として借方に。貸方にその分だけ資本が増加するので、資本金などを記入します。同時にパーチェス法に基づき、資産と負債の受け入れを記帳します。
相手企業の資産が10,000、負債が5,000、自社株式の時価が60、相手企業の発行済み株式数が200、合併比率が1:0.5、増加資本全てを資本金とするとこうなります。
(借) 子会社株式 6,000 (貸) 資 本 金 6,000
(貸) 子会社株式 6,000
(借) 諸 資 産 10,000 (貸) 諸 負 債 5,000
(借) の れ ん 1,000
取得原価は、60×200×0.5、で6,000となります。。
株式移転
株式移転は言葉からは想像できませんが、自社と買収相手を子会社に持つ新会社を設立する取引です。この新会社は持株会社と呼ばれます。よく見かける○○ホールディングスだの○○HDといった企業はこの持株会社です。
株式移転では自社の純資産と相手企業を買収するために交付した株式の総額の合計が子会社株式総額となります。
資産総額30,000、負債総額10,000、の企業が時価50の新株を300発行して買収したとすると、子会社株式は、20,000
+15,000、で35,000となります。
(借) 子会社株式 35,000 (貸) 資 本 金 17,500
(貸) 資本準備金 17,500
合併比率の決定
自社株式の交付により、買収する際には交付株式数を決めなければなりません。それは相手企業の発行済株式数に合併比率を掛けて算出します。この合併比率も何らかの方法で、決めなければなりません。合併比率は互いの企業価値の比となります。企業価値の算定法には以下の4つがあります。
1-各企業の発行済株式数×株価、で算出される時価総額。(株価市価法)
2-各企業の純資産額。(純資産法)
3-純資産額×自己資本利益率÷同業種の自己資本利益率、で計算。(収益還元価値法)
4-上記3つの方法で算定された企業価値から複数を選び出し、その平均とする。(折衷法)
以下データだとそれぞれの企業価値は…
株価市価法なら、発行済株式数×株価で自社330,000、相手企業250,000。
純資産法なら、資産額−負債額で自社300,000、相手企業200,000。
収益還元価値法なら、純資産額×自己資本利益率÷同業種の自己資本利益率で自社337,500、相手企業200,000。
折衷法なら、例えば2と3の平均で自社318,750、相手企業200,000。
企業価値が決まったら、相手企業の企業価値÷自社の企業価値、で自社株式1株と交換すべき相手企業の株式数が求められます。
自社 | 相手企業 | |
資産額 | 450000 | 300000 |
負債額 | 150000 | 100000 |
発行済株式数 | 1100 | 2000 |
株価 | 300 | 125 |
自己資本利益率 | 4.5% | 4% |
同業種の自己資本利益率は4% |
事業分割
事業分割というのは複数の事業部門を持っている企業が特定の事業を他企業に譲渡することです。総合電機メーカーが赤字続きのTV事業を売却する、というようなことです。
帳簿価額10,000(時価12,000)の資産と5,000の負債を含む事業をA社に売却。対価として10,000の新株を受け取ったとします。この場合の仕訳はこうなります。
(借) 諸負債 5,000 (貸) 諸資産 12,000
(借) A社株式 7,000
この例だと、A社株式の帳簿価額は手放した純資産の時価となります。ただし、事業が精算される場合は受け取った新株の金額をそのまま投資有価証券とし、手放した純資産の帳簿価額を超えていれば、移転利益を計上します。
(借) 諸負債 5,000 (貸) 諸資産 10,000
(借) A社株式 10,000 (貸) 移転利益 5,000
事業を譲渡された側はパーチェス法で処理します。新株の発行額が得た純資産額を超えていればのれん、下回っていれば分割差益を認識します。下記では新株の発行額全てを資本金としていますが、一部を資本準備金とすることもできます。
(借) 諸資産 12,000 (貸) 諸負債 5,000
(借) のれん 3,000 (貸) 資本金 10,000
新株発行の結果、事業を譲渡した企業の子会社となる場合は、純資産の帳簿価額を資本金とし、のれんなどは計上しません。
(借) 諸資産 10,000 (貸) 諸負債 5,000
(貸) 資本金 5,000