

変動費と固定費
ここでは、原価の発生額と生産量がどう関係しているかを探ります。そのために、生産量1単位当たりの変動費と生産量と無関係の固定費を求めます。これが解れば生産量を増加させると、発生原価はどれ位増加するのか事前に計算できるようになります。発生原価を変動費と固定費に分解する方法は過去の実績値を使用するタイプと、そうでないタイプに分けられます。
過去の実績値を使用しない手法には技術的予測法(IE法:インダストリアル・エンジニアリング)があります。IE法では、製造工程を分析し、この工程で製品を○個生産すればこれぐらいの原価が発生するはず、という推定を行います。新規に立ち上げた工程では、こうするしかありません。
稼動2年目など、実際発生原価のデータがある場合は、それを活用します。まずは、費目別精査法を適用します。この手法では、発生原価を仕訳の勘定科目別など、細かく分解します。そしてその一つ一つを、主要材料費は完全に生産量に比例するから全て変動費、減価償却費は全く関係無いから全て固定費、というように仕分けていきます。電力料金や人件費など、両者が混在している費目は時給制の部分は変動費、月給制の部分は固定費、というように分解します。
変動費部分と固定費部分があり、両者の金額が不明の費目については、高低点法や回帰分析を使用します。
高低点法
高低点法では、正常な操業度の範囲内で、最も生産量が多い時と少ない時のデータセットを使用し、変動費部分と固定費部分を求めます。以下の生産量と発電部門の燃料費のデータから、燃料費の変動費部分と固定費部分を求めます。連立方程式を作ってもいいですが、四則計算でも求められます。
最も生産量が多い月は12月、少ない月は6月です。12月は6月より、生産量が350、対象費目の発生額が28,000多いです。この28,000は全て変動費です。よって、28,000÷350、で変動費は製品1単位につき、80となります。後は、42,000−500×80、か、70,000−850×80、で固定費は2,000となります。
これで、予定生産量×80+2,000、で燃料費を予測できるようになりました。しかし、12のデータセットの内、2組しか使っていません。また、この2組が不変だと、他の10組の生産量と燃料費が変化しても同じ結果となります。よって、高低点法はかなり不正確な方法といえます。
1月 | 550 | 45,000 |
2月 | 680 | 56,000 |
3月 | 800 | 65,000 |
4月 | 650 | 55,000 |
5月 | 720 | 60,000 |
6月 | 500 | 42,000 |
7月 | 610 | 50,000 |
8月 | 575 | 48,500 |
9月 | 640 | 53,000 |
10月 | 777 | 65,000 |
11月 | 810 | 67,000 |
12月 | 850 | 70,000 |
回帰分析(最小自乗法)
原価予測法の一つにスキャッター・グラフ法というのがあります。これは、生産量と発生原価の関係を表す点を打ち、それに最も合うと思われる直線を強引に引きます。その直線が生産量が100個増加する度にどれだけ、右肩上がりになるかから、変動費を求めます。回帰分析(最小自乗法)は、その点と直線の距離の2乗の和が最小になる変動費と固定費の組み合わせを求めます。下記のデータの生産量×変動費+固定費の誤差の平均が最小になる組み合わせを求めるともいえます。
計算のためには下記の表が必要です。
この表の数値を以下の公式に当てはめると、
で80.828となります。固定費は以下の公式に当てはめると、
で1411.96となります。
次へ