

差額原価収益と法人税
差額原価収益は、生産設備を買い換えるべきか現有の設備を使用し続けるべきかなど、複数の投資案の中でどれが最も有利か判断する問題です。"差額"の名の通り費用や収益の全てではなく、投資によって変化した額のみを考慮します。変化しない費用は埋没原価となります。生産設備を買い換える場合、従業員が不変ならその労務費、消費電力が不変なら電気代は埋没原価となります。収益についても同様で、新設備により生産能力が向上し、売上が増加したとします。旧設備が生み出していた収益はもちろん、生産量増大による製造原価の増加分も差し引いた利益の純増額(税引前正味キャッシュ・インフロー)を計算します。
さらに差額原価収益では、費用と利益に対応する法人税も考慮します。利益や設備の売却益といった収益については法人税を差し引いた税引後利益(税引後正味キャッシュ・インフロー)を計算します。新設備購入やによる減価償却費の増加額や売却損は税引前正味キャッシュ・インフローを減少させるので、その節税額をキャッシュ・インフローとして扱います。税額の減少を収入と見なす訳です。このような節税効果をタックス・シールドと呼びます。
では、設備の買い換え問題で差額原価収益の解き方をみていきます。1年前に購入した設備を売却し、年間2,000の税引前利益増が見込める設備に買い換え、減価償却は新旧共に定額法とします。
投資時差額原価
まず、新設備の購入代金で、-10,000となります。旧設備の売却代金4,000が入るので、-6,000。旧設備の簿価は4,250なので、250の売却損です。法人税は40%なので、100の節税効果があります。よって、投資時差額原価は-5,900。
年間差額原価
税引前2,000の利益増なので、税引後だと0.6を掛けた1,200。新設備の年間減価償却費は旧設備より1,050多いので、420節税効果が高いです。よって、年間差額原価は1,620。
終了時差額原価
新設備の売却代金は2,000。1,000売却益が発生しますが、40%を法人税として持っていかれるので、1,600。旧設備は残存価額500にもかかわらず、処分価値がないので500の除却損です。法人税は40%なので、200の節税効果があります。よって、新設備と旧設備の耐用年数経過時の差額原価は1,400。
正味現在価値法
ここでは、各差額原価を基に正味現在価値法で旧設備を使用し続けるより新設備に買い換えた方が有利か判断します。この方法では各差額原価を現在価値に換算し、合計します。0以上なら、有利な投資と考えます。割引率は5%とします。この企業では100の資金が1年後に105になると仮定するわけです。
投資時差額原価はすでに現在価値です。年間差額原価は5%で5年の年金現価係数4.33を掛けます。毎年入る1,620を5年間業務に再投資して得られる資金は年間差額原価の4.33倍というわけです。終了時差額原価は0.784を掛けます。これが5年後の資金1の現在価値です。
正味現在価値は、-5,900+1,620×4.33+1,400×0.784、で2,212となります。
内部利益率法
内部利益率法では投資案の利益率を探し出し、資金の調達コストと比較します。利益率は正味現在価値がゼロになる割引率ですが、公式では求められません。上記のスクリプトに様々な割引率の係数を入力すると16〜17%となります。例えば、新設備の購入代金を全額借入金で賄う場合、これ以下の利率で借り入れる必要があります。