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2級工業簿記

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個別原価計算とは?!---ツール

  個別原価計算とは相手の要求仕様に基づき、1つ1つ特注で製造される製品に適用される手法で、船舶、大規模建築物、ソフトウェア、などが対象となります。
  個別原価計算では、まず製造指図書というものが作られます。これはこういう製品を作れ、という命令書で、製品ごとに作られます。船舶なら、A社向けのコンテナ船、B社向けのコンテナ船、C社向けの客船というような感じです。これには製造の予定開始日や完成予定日などが書かれます。
  さらに製造指図書と一緒に原価計算表が作られます。原価計算表には実際に投じられた費用が記録されます。

製造間接費の配賦

  原価の内、直接費は製造指図書ごとに発生額を記録していけばいいです。これに対し、間接費はまとめて製造間接費としてから、何らかの基準で各製造指図書に配分します。この費用配分のことを配賦(はいふ)といいます。配分方法には例えば直接材料費法があります。これだと、その期の直接材料費総額に占める各製造指図書の割合通りに製造間接費を負担されます。同じように直接労務費、直接費総額に占める割合を配賦基準にすることもあります。
  製造間接費の発生額を把握してから配分することを特に実際配賦といいます。実際配賦では発生額が判明する月末まで何もできません。この問題を解決するために予定配賦という方法があります。予定配賦法では前もって製造間接費の予算額と配賦基準を決めておきます。例えば月間の製造間接費予算額を100万円、予定機械運転時間合計を1000時間とすれば、配賦額は1時間につき1000円となります。あとは機械運転時間×1000で、期中でも製造間接費の発生具合が分かります。

仕掛品勘定と製品勘定への記入

  発生原価のデータが集まったら、月末に勘定記入を行います。ここでは仕掛品勘定と製品勘定に絞ってやります。
  仕掛品勘定ですが、まず借方に月初棚卸高、貸方に月末棚卸高を記入します。この金額はまだ完成していない製造指図書に投入した原価の合計額となります。次に借方にその月の発生原価を全て記入します。原価の発生はその分だけ、仕掛品という資産を増加させるので、借方となります。その月に完成した製造指図書については集計されている原価全てを製品とします。完成するとその分だけ仕掛品は減少するので、貸方に記入します。月初棚卸高と今月中に発生した原価は全て月末棚卸高か製品の一部になっているので、借貸の合計額は必ず一致します。というわけで製品の金額は借方合計から月末棚卸高を引いて求めることもできます。
  製品勘定へは、やはりまず借方に月初棚卸高、貸方に月末棚卸高を記入します。これらは完成したものの、まだ引き渡していない製品の原価合計となります。次に借方に当月完成した製品の原価合計を当期製造原価として記入します。これは仕掛品勘定の製品と同じ金額になります。最後に借方の合計額から月末棚卸高を引いて売上原価を求めます。

問題

  では以下の製造指図書1〜4のデータを7月末の仕掛品勘定と製品勘定へ記入してください。製造間接費は作業時間を基準に予定配賦するものとします。

製造指図書1製造指図書2製造指図書3製造指図書4
6月中発生原価
7月中直接材料費
7月中直接労務費
7月中直接経費101112
7月中の作業時間13141516
作業の進行状況6月製造開始
7月完成引渡し
7月製造開始
7月完成引渡し
7月製造開始
7月完成未引渡し
7月製造開始
未完成

  年間の製造間接費予定額は17円、予定作業時間は18時間。
仕掛品
借方金額貸方金額
月初棚卸高19製品20
材  料21月末棚卸高22
労務費23
経  費24
製造間接費25

製品
借方金額貸方金額
月初棚卸高26売上原価27
当期製造原価28月末棚卸高29


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