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2級工業簿記

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標準原価=予想原価=目標原価

  標準原価は製品1個製造するのにこれくらい掛かるだろうという予想価格であると同時に、これだけで造るという目標原価でもあります。その目標の達成具合は原価差異として現れます。しかし原価差異=○○円、これだけでは何が良くて何が悪かったのかさっぱり分かりません。そこで、ここでは原価差異を7つに分解してみます。

材料費差異

  材料費差異は予想よりどれだけ材料費を節約できたか、使いすぎたかを表します。材料費差異は価格差異と数量差異の2つからなります。
  価格差異は予定価格と実際価格の差に実際消費量を掛けて算出します。数量差異は製品1個製造するのに必要な標準量に完成品数+月末仕掛品数−月初仕掛品数、で算出した当月投入量を掛けた標準消費量と実際消費量の差に標準価格を掛けたものです。
  では以下の前ページのデータだと2つの差異はいくらになるでしょう。

標準価格 標準消費量
実際価格 実際消費量


まとめ

  材料価格差異は(標準価格−実際価格)×実際消費量、で算出しどれだけ安く材料を仕入れられたかを表しています。
  材料消費量差異は(標準消費量−標準消費量)×標準価格、で算出しこれだけの製品を作るにはこれだけの材料を使用すればいいはずなのに、実際はどれだけ材料を使用し、材料費を節約なり浪費したかを表しています。

労務費差異

  労務費差異は予想よりどれだけ労務費を節約できたか、使いすぎたかを表します。労務費差異は賃率差異と作業時間差異の2つからなります。
  賃率差異は予定賃率と実際賃率の差に実際作業時間を掛けて算出します。作業時間差異は製品1個製造するのに必要な標準作業時間に完成品数+月末仕掛品数×進捗率−月初仕掛品数×進捗率、で算出した当月加工量を掛けた標準加工時間と実際作業時間の差に標準賃率を掛けたものです。
  では以下の前ページのデータだと2つの差異はいくらになるでしょう。

標準賃率 標準作業時間
実際賃率 実際作業時間


まとめ

  賃率差異は(標準賃率−実際賃率)×実際作業時間、で算出します。
  作業時間差異は(標準加工時間−実際作業時間)×標準賃率、で算出しこれだけの加工作業を行うにはこれだけの作業時間があればいいはずなのに、実際はどれだけ作業時間し、労務費を節約なり浪費したかを表しています。

製造間接費差異

  製造間接費差異はさらに予算差異、能率差異、操業度差異、の3つに分解できます。予算差異は製造間接費の実際発生額が予定額に比べて多いか少ないかを表しています。
  能率差異は作業時間差異のようなものです。ただし計算には操業度を使います。操業度はどれだけ工場が生産活動を行っているかを表しています。ここでは直接作業時間=操業度としていますが、機械運転時間など他の指標を使うこともあります。基準操業度は標準操業度なり予定操業度です。、で能率差異は製品1個製造するのに必要な標準作業時間に完成品数+月末仕掛品数×進捗率−月初仕掛品数×進捗率、で算出した当月加工量を掛けた標準加工時間と実際操業度の差に製造間接費の1時間あたりの予定配賦額を掛けたものです。
  操業度差異は実際操業度と基準操業度の差に製造間接費の1時間あたりの予定配賦額を掛けたものです。今までは標準より実際発生量が少ないと有利差異、多いと不利差異でしたが、操業度差異は逆になります。標準操業度<実際操業度だと有利差異、標準操業度>実際操業度だと不利差異となります。
  企業にとって操業度は高い方が良いのです。例えば固定費の存在。月に300時間動かせ、減価償却費が月300万円の機械があるとします。300時間動かせば1時間につき1万円ですが、200時間なら1.5万円、100時間なら3万円となっていきます。また月に300時間動かせる機械を100時間しか動かせなかったら200時間分の性能を無駄にしたことになります。というわけで操業度は高い方が良いのです。

固定予算 基準操業度 標準配賦率
1個当たり標準操業時間 実際操業度 実際製造間接費

月初仕掛品 月初仕掛品進捗率 月末仕掛品
月末仕掛品進捗率

当月完成量

まとめ

  予算差異は予算額−実際発生額、で算出します。
  能率差異は(標準加工時間−実際操業度)×製造間接費の1時間あたりの予定配賦額、で算出します。
  操業度差異は(実際操業度−標準操業度)×製造間接費の1時間あたりの予定配賦額、で算出します。
  そして以上7つの差異を足していくと…

66,450+(-15,000)+(-87,500)+20,000+40,000+20,000+(-50,000)=-6,050

と前ページのパーシャルプランツールの不利差異額と一致します。

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