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2級工業簿記

工業簿記と原価計算

原価の構成要素

仕訳と勘定記入

個別原価計算

総合原価計算

部門別原価計算

工程別・組別・等級別

仕損と減損

標準原価計算

差異分析

固定予算と変動予算

直接原価計算

CVP分析

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仕損と減損

  残念ながら投入原価全てが製品になってくれるとは限りません。仕損と減損で消えてしまうこともあります。
  仕損とは製造に失敗することです。仕損が発生した製品は仕損品と呼ばれます。いわゆる不良品のことですね。仕損品に投じらた原価は仕損費という費用になります。仕損品に処分価値がない場合はその原価がそのまま仕損費になりますが、仕損品に売却価値がある場合は販売費等を引いた手取額の分だけ仕損費は減ります。また仕損品が材料として再利用出来る場合は、節約される材料の原価分仕損費は減ります。
  減損は粉末原料の飛散、液体原料の蒸発、など原材料が自然消滅することです。粉末原料をブゥワッサーと生産設備に入れた時に飛び散り入らなかった分、液体原料を加工しているうちに蒸発した分の材料原価が減損費となります。
  日常的に発生する仕損費と減損費は製造上避けられないコストとして製品原価に組み込まれます。組み込み方は発生地点によって違います。また仕損費が何円か把握するかしないかによっても計算法が変わります。仕損費を計算するのは非度外視法、いきなり原価に組み込むのが度外視法となります。2級では度外視法をやります。2級では仕損の発生点は工程の始点か終点のどちらかであることが多いです。

終点発生

  仕損が発生しても計算法は普通の総合原価計算とそれほど変わりません。仕損が終点で発生している場合は月末仕掛品数は発生点を過ぎていません。よって仕損費は完成品のみが負担します。
  計算法は月末仕掛品総合原価計算時に完成品数に仕損品数を加えるだけです。 そうすると仕損品が完成品になっていた場合と同じ完成品総合原価 が出てきます。これを実際に完成品となった製品数で割ることで、仕損費を負担した完成品単価が出てきます。
  以下は平均法ツールの改造版です。このままだと単価は2617円になります。仕損品数を0にし、完成品数を800にすると2454円となります。この差が仕損費の負担です。

月初仕掛品材料費 月初仕掛品加工費 当月材料費
当月加工費 当月完成数 月末仕掛品数
月末進捗率(小数)仕損品数

始点発生

  始点発生の場合は月末仕掛品も発生点を通過しているので、仕損費を負担します。計算法は何と普通の総合原価計算そのままです。投入原価に仕損費が含まれているにもかかわらず、仕損が発生していないかのように計算します。すると自動的に仕損費が完成品と月末仕掛品に配分されます。
  以下のツールには上記と全く同じデータが入っています。しかし月末仕掛品総合原価が増加し、完成品総合原価は減少しています。これは完成品総合原価が全て負担していた仕損費の一部が月末仕掛品総合原価に移ったせいです。

月初仕掛品材料費 月初仕掛品加工費 当月材料費
当月加工費 当月完成数 月末仕掛品数
月末進捗率(小数)仕損品数

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