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2級工業簿記

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総合原価計算とは?!
平均法ツール-先入先出法ツール-後入先出法ツール

  自動車を年間100万台製造するために製造指図書を100万枚書き、それぞれの原価を集計していくのは面倒過ぎます。という訳で次は総合原価計算というのをやります。これは同じ製品を大量生産する場合に使われる手法です。
  総合原価計算ではまず月初仕掛品原価と当期の総製造費用を足して総投入原価を出します。次に月末仕掛品総合原価を求めます。この月末仕掛品総合原価を総投入原価から引きます。すると完成品総合原価が出てきます。最後にこれを完成品数で割れば完成品の単価が求められます。
  というわけで総合原価計算で計算すべきなのは、月末仕掛品総合原価となります。この計算法は、月初仕掛品と当月投入分がどういう順番で製造ラインに乗ったと仮定するかで3つの方法に分かれています。
  どの方法でも原価を材料費と加工費に分けて計算し、これを足して月末仕掛品総合原価を求めます。材料は始点で全て投入されるという条件であることが多いです。一方、加工費は工程を通じて平均的に投じられていると仮定します。工程の半分まで進んでいるなら完成品の半額、3分の1までなら完成品の3分の1という訳です。この工程のどこまで進んだかを進捗率と言います。工程の半分までなら50%、3分の1なら33%となります。夏休みの宿題で出された50ページのドリルの20ページまで出来ていたら進捗率40%と言えばイメージしやすいかもしれません。加工費の計算では月末仕掛品に進捗率50%なら0.5、3分の1なら0.33を掛けることで完成品換算で何個分の加工費が投じられたか計算します。

平均法

  平均法は月初仕掛品と当月投入分が平均的に、言い換えるとランダムに製造ラインに乗ったと仮定しています。公式は以下のようになります。
  総合原価計算を電卓でする場合はまず月初仕掛品原価と当期投入原価を足して出た総コストをメモリーに記憶させます。次に公式を使って月末仕掛品原価の材料費を計算し、メモしておきます。月末仕掛品原価の加工費も計算できたら材料費と足して月末仕掛品原価を求めます。メモリーに記憶させた総コストから月末仕掛品原価を引けば完成品原価が出てきます。

1単位当たり材料費=(月初仕掛品材料費+当月材料費)÷(当月完成数+月末仕掛品数)
月末仕掛品材料費=1単位当たりの材料費×月末仕掛品数
1単位当たり加工費=(月初仕掛品加工費+当月加工費)÷(当月完成数+月末仕掛品数×月末仕掛品進捗率)
月末仕掛品加工費=1単位当たりの加工費×月末仕掛品数×月末仕掛品進捗率
月末仕掛品総合原価=月末仕掛品材料費+月末仕掛品加工費


  式の意味ですが、月初仕掛品原価と当月の製造費用を完成品と月末仕掛品の合計数量で割って平均単価を求めます。加工費計算の際は月末仕掛品に月末仕掛品進捗率を掛けておきます。では以下の条件だと月末仕掛品総合原価と完成品総合原価はいくらになるでしょう?!
 
月初仕掛品材料費 月初仕掛品加工費 当月材料費
当月加工費 当月完成数 月末仕掛品数
月末進捗率(小数)

先入先出法

  先入先出法では先に製造ラインに乗ったものから、つまり月初仕掛品を全て完成させた後で当月投入分の加工に取り掛かると仮定します。

1単位当たり材料費=当月材料費÷(当月完成数+月末仕掛品数−月初仕掛品数)
月末仕掛品材料費=1単位当たりの材料費×月末仕掛品数
1単位当たり加工費=当月加工費÷(当月完成数+月末仕掛品数×月末仕掛品進捗率−月初仕掛品数×月初仕掛品進捗率)
月末仕掛品加工費=1単位当たりの加工費×月末仕掛品数×月末仕掛品進捗率
月末仕掛品総合原価=月末仕掛品材料費+月末仕掛品加工費


  式の意味ですが、月末仕掛品は全て当月投入分から発生していると仮定します。なので、当月完成数+月末仕掛品数−月初仕掛品数、当月投入量を計算し、それを分母に月末仕掛品と完成品に原価を分配します。では以下の条件だと月末仕掛品総合原価と完成品総合原価はいくらになるでしょう?!
 
月初仕掛品数 月初仕掛品進捗率(小数) 月初仕掛品材料費 月初仕掛品加工費 当月材料費 当月加工費
当月完成数 月末仕掛品数 月末進捗率(小数)

後入先出法

  後入先出法は検定の試験範囲からはずれました。なので、覚えても仕方ないかもしれませんが、一応やります。これは先入先出法とは逆に当月投入分が全て完成したら月初仕掛品の加工に取り掛かると仮定します。後入先出法では月末仕掛品が月初仕掛品より多いか少ないかで計算法が変わります。
  月末仕掛品が月初仕掛品より少ない場合、月末仕掛品は全て月初仕掛品の一部ということになります。よって月末仕掛品の数が月初仕掛品の半分なら月末仕掛品総合原価も月初仕掛品総合原価の半分というようになります。 月末仕掛品が月初仕掛品より多い場合は月初仕掛品全てと当月投入分の一部が月末仕掛品になったことになります。以下の例だと100−70で30が当月投入分の一部です。なので、材料費は当月完成数に30を足したもので1単位当たりの金額を出して30を掛けます。加工費は進捗率を考慮し、(100×0.7−70×0.7+999)で当月加工費を割り、30×0.7を掛けます。この二つに月初仕掛品総合原価を足したものが月末仕掛品総合原価となります。

月初仕掛品数 月初仕掛品進捗率(小数) 月初仕掛品材料費 月初仕掛品加工費 当月材料費 当月加工費
当月完成数 月末仕掛品数 月末進捗率(小数)

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