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2級工業簿記

工業簿記と原価計算

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標準原価計算とは?!

  標準原価計算は今までやってきた原価計算とは根本的に異なります。何が違うのかというと、今までの原価計算は実際に発生した費用に基づいて完成品原価を計算してきました。一方、標準原価計算では製品製造に必要な費用を前もって決めてしまいます。材料費については製品1個製造するのに必要な量(標準消費量)と仕入値(標準価格)、労務費については必要作業時間(標準作業時間)と標準賃率(時給)、を決めておきます。すると製品1個製造に必要と思われる原価が出来上がります。これが標準原価です。実際に発生した費用を集計し、原価計算を行うと当月発生費用の確定する月末まで何も出来ません。しかし標準原価計算では、標準原価×現時点までの完成数で完成品原価が計算できます。また標準原価に10%の利益を加算して…というように販売価格決定にも便利です。

原価差異

  標準原価を決めても、当然それとは別に費用の実際発生額はあります。材料費には代金の支払い高がありますし、労務費にも実際に支払った給与があります。そして両者は一致するとは限りません。この実際発生額と標準原価の差は原価差異として把握されます。通常、発生する範囲内の原価差異は売上原価に加減されます。これでちゃんと実際に発生した費用で利益を計算できます。損益計算書で勝手に決めた標準原価を売上高から引いて利益を計算してはいけません。

シングルプラン-99万-変450

  次は標準原価計算の結果を仕掛品勘定へ記入する方法です。今までは実際に発生した原価ばかり記入していましたが、標準原価計算では標準原価を記入します。このページではシングルプラン、パーシャルプラン、の2つの方法をやります。
  シングルプランでは全項目に標準原価を記入します。例えば材料費は、完成品数+月末仕掛品数−月初仕掛品数、で算出した当月投入量に1個当たりの標準額を掛けて算出します。製造間接費や労務費(加工費)は、完成品数+月末仕掛品数×進捗率−月初仕掛品数×進捗率、で算出した当月投入量に1個当たりの標準額を掛けて算出します。仕掛品については材料費はそのまま個数を掛けて、労務費と製造間接費は、完成品換算数量(仕掛品数×進捗率)、を掛けます。
  ではここに書いた計算法で下の仕掛品勘定に入力してみてください。

標準原価は1万円
標準材料消費価格0標準材料消費量1
標準賃率2標準直接作業時間3
標準製造間接費配賦額
円×5直接作業時間時間
実際発生原価
実際材料消費価格6実際材料消費量7
実際賃率8実際直接作業時間9
製造間接費関連
基準操業度10実際操業度11
固定予算額12実際発生額13
生産データ
月初仕掛品数1415進捗率
月末仕掛品数16進捗率17
完成数量18
仕掛品
借方金額貸方金額
前月繰越19製品20
材料費21次月繰越22
労務費23
製造間接費24

パーシャルプラン

  パーシャルプランでは当月発生原価のみ実際発生額を記入します。そして貸借差額として原価差異が出現します。標準原価より実際発生原価が多いと貸方(不利差異という)、少ないと借方(有利差異という)となります。シングルプランでは原価差異は仕掛品勘定に原価を記入する前に原価差異勘定に記入します。シングルプランで原価差異が出現しない、標準原価だけ記入するのは実際発生原価から原価差異が事前に切り離されているからとも言えます。
  ではここに書いた計算法で下の仕掛品勘定に入力してみてください。当月発生の原価のみ実際のデータで計算、残りは全てシングルプランと同じです。原価差異は借貸、どちらか片方のみに記入します。

仕掛品
借方金額貸方金額
前月繰越25製品26
材料費27次月繰越28
労務費29原価差異30
製造間接費31
原価差異31

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